さらに受診者を苦しめるのが「偽陽性」の存在だ。腫瘍マーカーの数値は、がん以外の要因でも簡単に跳ね上がる。例えば、喫煙、加齢、良性のポリープ、慢性的な肝炎や腎機能の低下、さらには風邪や胆のう炎といった日常的な炎症反応でも異常値を示してしまう。
健診結果の「要精密検査」という一言に顔を青くし、仕事を休んで精密検査に駆け込む。高度な画像診断や痛みを伴う生検を受けても結局何も見つからず、ただ精神的に疲弊し、高額な医療費を支払って終わる。こうした「偽陽性の嵐」に巻き込まれた受診者が、徒労感から「腫瘍マーカーなど意味がなかった」と怒りを募らせるケースは極めて多い。