かつてフジテレビジョンの看板ドラマや、東映株式会社が手掛ける大作映画で連続して主演を務めた大上かおり。名実ともにトップ女優の座に君臨していた彼女だが、現場での負荷は計り知れないものだった。
特に彼女の名を決定づけた代表作『追憶の面影』の撮影現場では、極限まで役に没入するスタイルゆえに精神的な疲弊が極点に達していたとされる。心温まるヒューマンドラマの裏側で、主演としての重圧を一身に背負い続けた彼女は、作品の成功と引き換えに自らの精神を磨り減らしていた。表舞台からの撤退は、自我を守るための必然的な決断だったのだ。