放送当時、一部のネット掲示板やSNSでは「朝から見るには父親(テルヲ)が毒親すぎて辛い」「話が重くてしんどい」といった声が散見された時期がありました。しかし、これを単なる「視聴者離れの原因」と結論づけるのは本質を見誤っています。
実際には、前半で描かれた過酷な境遇や家庭環境の歪みこそが、後半における千代の人間的成長と、ラジオドラマ『お父さんはお人好し』で国民的お母さん役として再生していく感動を最大化させるための緻密な伏線となっていました。
家族社会学や心理学の観点から見ても、千代とテルヲの関係は典型的な「共依存と愛憎の葛藤」であり、千代が苦しみ抜いた末に自らの意志で心理的境界線(バウンダリー)を引き、自立していくプロセスは極めて現代的な救済の物語として再評価されています。「ただ明るいだけの朝ドラ」ではなく、人間の業や痛みに真正面から向き合ったからこそ、放送終了後も名作として語り継がれているのです。