支保工とは、土木・建築工事において、上部構造物の自重や側圧、あるいは掘削面からの土圧・水圧を一時的に支えるための仮設構造物の総称です。代表的なものには、コンクリートが固まるまで型枠を支える「型枠支保工」、掘削現場で周囲の地盤が崩れてこないように支える「土留め支保工」、山岳トンネルの掘削時に地山を安定させる「トンネル支保工」があります。
現場で最も混同されやすいのが支保工と足場の違いです。両者は外見上、どちらも金属製のパイプやフレームで組まれているため同一視されがちですが、力学的な目的と背負うリスクが全く異なります。
足場はあくまで「作業員が通行し、手元の作業を行うための足掛かり(作業床)」です。足場にかかる荷重は、作業員数名の体重や手持ちの工具、小運搬する資材程度であり、積載荷重は平米あたり数百キロ程度を想定して設計されます。
対して支保工は「数トンから数十トンに及ぶ生コンクリートの自重」や「背後地盤の巨大な土圧」を直接受け止める骨組みです。支保工が破損・倒壊した場合、作業員の墜落にとどまらず、現場全体の瞬時崩落を引き起こし、直下にいる作業員全員の命を奪う壊滅的な大惨事をもたらします。そのため、労働安全衛生規則においても、足場とは独立した極めて厳格な構造基準・点検基準が定められています。