「少なくなったら困るから、溢れるギリギリまでたっぷり入れておこう」という判断は、重大なトラブルを招く危険な過ちです。
バッテリー液の正体は、無色透明ですが濃度約30〜35%の劇物指定に準ずる「希硫酸」です。液をアッパーレベルを超えて補充してしまうと、走行中の充電熱による液体の熱膨張や、電気分解で発生する気泡の逃げ場がなくなり、液口栓の微細な排気穴から電解液が車外へ噴き出します。
整備現場の報告やロードサービスの救援事例では、液の入れすぎによって噴出した希硫酸が原因となる以下のような重大トラブルが後を絶ちません。
エンジンルーム内の鉄板やバッテリーステー(固定金具)に希硫酸が付着し、激しい腐食・サビが発生してボディフレームに穴が開く事例。あるいは、近くを通るオルタネーターやスターターモーターの配線ハーネスを溶かし、ショートによる火災やECU(エンジン制御ユニット)の破損に至るケースです。
万が一、作業中や走行後の噴出時に目や皮膚へ希硫酸が付着した場合、化学熱傷や失明の恐れがあります。万が一触れてしまった場合は、直ちに大量の水道水で15分以上洗い流し、速やかに医師の診察を受ける必要があります。