古典の継承だけに留まらないのが、現代の菊之助の凄みだ。彼は『風の谷のナウシカ』や『ファイナルファンタジーX』など、現代のポップカルチャーを歌舞伎化するプロジェクトを牽引してきた。これらは単なる話題作りではなく、歌舞伎という芸能が持つ「時代の最先端を取り込む」という本質的な精神に基づいている。
「古典がしっかりしているからこそ、新しい挑戦ができる」と彼は語る。この姿勢は、かつて新しい歌舞伎の形を模索し続けた歴代の菊五郎たちの魂を受け継いでいる。若い世代や海外の観客を魅了する彼の挑戦は、歌舞伎の寿命をさらに数十年先へと延ばす原動力となっている。