ユーハイムの洋菓子を語る上で欠かせないのが、創業者カール・ユーハイム 歴史とその不屈の職人魂です。1909年に中国の青島で独立したドイツ人菓子職人カール・ユーハイムは、第一次世界大戦の勃発に伴い捕虜として日本(広島湾の似島)へ移送されました。そして1919年3月4日、広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)で開催された俘虜製作品展覧会において、日本で初めてバウムクーヘンを焼き上げました。
解放後、横浜で自身の店を開業したものの、1923年の関東大震災で被災。すべてを失ったカールとエリーゼ夫妻が再起の地として選んだのが、異国情緒あふれる港町・神戸でした。外国人居留地を中心に本物の味覚を届ける中で、夫妻が頑なに貫いたのが「純正自然(無添菓)」という理念です。
乳化剤や膨張剤、保存料といった化学合成添加物に頼らず、バター、卵、小麦粉、砂糖という基本素材本来の力を引き出す製菓法は、2026年の現在に至るまで同社のアイデンティティとして厳格に守られています。神戸元町本店で供される一切れのバウムクーヘンには、100年以上にわたる波乱の歴史と、愚直なまでの誠実さが凝縮されています。