今や辞書や学術論文にも引用される「中二病」という概念ですが、その発祥は1999年1月11日放送のTBSラジオ『伊集院光 深夜の馬鹿力』にまで遡ります。パーソナリティの伊集院光氏が番組内のコーナーで「まだ中二病に罹っています」と発言したのが公式な記録としての初出です。当時の文脈は「因果関係もないのに洋楽を聴き始める」「美味しくもないのにブラックコーヒーを無理して飲む」「母親を『お袋』と呼び始める」といった、思春期特有の背伸びや自意識の肥大化を自虐的に笑うものでした。
この言葉が劇的な変容を遂げた震源地が、2000年代初頭の巨大掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」です。特にニュース速報(VIP)板などで語り継がれた「邪気眼(じゃきがん)」と呼ばれる派生類型が、現在の「厨二病言葉」のパブリックイメージを決定づけました。「邪気眼黒歴史セリフ」の代表例とされる「くっ…静まれ、俺の腕…!」「奴らが動き出したか…」といった妄想設定は、元来の日常的な背伸びから「隠された異能力への憧憬」へと完全にシフトした転換点でした。
サブカルチャー評論家の分析や当時のスレッドログを検証すると、中二病は主に3つの類型に分類されます。他人と違う趣味を誇示する「サブカル系」、不良のフリをする「ヤンキー(DQN)系」、そして超常現象やオカルト設定に没入する「邪気眼系」です。創作表現において現在も強烈な生命力を誇っているのは、まさにこの邪気眼系のDNAを受け継いだボキャブラリー群に他なりません。