レースで100分の1秒を争うのではなく、「法定速度を守って街中を流す」「長距離トラックで高速道路をまったり走る」といった、非競争型の運転シミュレーションが国内外で爆発的な支持を集めています。その背景には、ゲーミングハードウェアの進化とユーザー心理の変化という2つの大きな構造的要因が存在します。
ハードウェア面では、路面の凹凸やタイヤのグリップ限界をモーターの磁力で直接ステアリングに伝える「ダイレクトドライブ(DD)方式」のハンコンが4万〜6万円台で購入できるようになり、かつて数十万円を要した本格環境の敷居が一気に下がりました。加えて、PS VR2やPC向けスタンドアローンVRゴーグルの高解像度化により、左右の安全確認やバックミラーの視線移動が現実とほぼ同等の感覚で行えるようになった点も見逃せません。
一方、ユーザー心理の面では、長時間のゲームプレイにおいて勝敗のストレスを感じたくない「チル(Chill)消費」や「環境音(ASMR)需要」が定着しました。雨の夜の首都高を音楽を聴きながら流す、広大なヨーロッパの田園風景を眺めながら荷物を運ぶといった、「ただ車を走らせる癒やしの時間」を求める大人世代のプレイヤーが急増しています。