ジェッソ(Gesso)とは、支持体(キャンバス、木製パネル、紙、金属、プラスチックなど)に塗布することで、上から重ねる絵具の定着性を高め、美しい発色を引き出すための「白色地塗り材」です。語源はイタリア語で石膏(せっこう)を意味し、ルネサンス期には膠(にかわ)と石膏粉末を練り合わせた下地が使われていましたが、現在の主流は水溶性で乾燥が早いアクリルエマルジョン系ジェッソとなっています。
作品を制作するにあたり、なぜ下地処理にジェッソを用いるべきなのか。その決定的なジェッソ下地理由には、主に以下の4つの物理的・化学的メリットが存在します。
- 吸込みの均一化(目止め効果):生キャンバスやベニヤ板、MDF材などは水分や油分を過剰に吸収します。ジェッソを一層塗ることで表面の微細な孔を塞ぎ、絵具の伸びムラや極端な乾きムラを抑えます。
- 驚異的な発色の向上(白色度の担保):下地の濁りや木目を均一な純白で覆い隠す(隠蔽する)ことで、上に塗るジェッソアクリル絵具の透過光が反射し、鮮明で濁りのない発色が実現します。
- 物理的アンカー効果(定着性の向上):ジェッソに含まれる炭酸カルシウムや顔料粒子が、乾燥後に微細な凹凸(マイクロテクスチャ)を形成します。これが絵具層をしっかり食いつかせ、経年劣化による剥離やひび割れを防止します。
- 支持体の保護と耐久性:木材から染み出るアクや、湿気によるキャンバスのたるみを防ぎ、作品の保存期間を飛躍的に延ばします。