界面活性剤の議論において、多くの人が混同しているのが「ラウリル硫酸ナトリウム」と「ラウレス硫酸ナトリウム」の違いです。名前が一文字違うだけですが、化学構造と人体への刺激性には決定的な差があります。
ラウレス硫酸ナトリウム(SLES)は、ラウリル硫酸ナトリウムにエチレンオキシドを付加(ポリオキシエチレン化)させた構造を持ちます。分子量が大きくなることで皮膚や粘膜への浸透性が抑えられ、皮膚刺激性が大幅にマイルドに改良された成分です。主にシャンプーやボディソープの洗浄基剤として広く普及していますが、歯磨き粉においては泡切れの軽さや爽快感の観点から、従来型製品では依然としてラウリル硫酸ナトリウムが使われ続けてきた経緯があります。
「ラウリル硫酸塩 安全性 歯科医師」の観点から言えば、毒性物質としての危険はないものの、「口腔という極めてデリケートな粘膜組織にわざわざ強い脱脂力を持つ成分を用いる必然性は薄い」というのが現代の予防歯科におけるコンセンサスになりつつあります。成分表示を見る際は、名称の類似に惑わされず、どの系統の界面活性剤が使われているかを見極める視点が不可欠です。