音楽ファンの間でしばしば議論や検索の対象となるのが、「マライア・キャリーのShake It Off」と「テイラー・スウィフトのShake It Off(2014年)」の混同や比較です。タイトルが全く同一であることから「カバー曲なのか」「どちらがオリジナルなのか」という疑問を持つリスナーも少なくありません。
結論として、両者は完全に異なるオリジナル楽曲であり、カバーやサンプリングの関係にはありません。しかし、双方が描いたテーマと音楽的アプローチを比較すると、極めて興味深い相違点が見えてきます。
テイラー・スウィフト版の『Shake It Off』は、メディアのゴシップやアンチからの謂れのない中傷に対し、「何を言われても気にせず踊り飛ばす」という外的な世評に対するスルースキルを、アップテンポなポップ・ロックサウンドで表現したパブリックなアンセムです。
一方、マライア・キャリー版の『Shake It Off』は、私的な空間における「毒のある恋愛関係・パートナーシップ」からの脱出を描いた親密なR&Bです。他者からの視線ではなく、「自分自身の人生の主権を誰に渡すか」という内省的かつ毅然とした決断が描かれており、グルーヴィーでレイドバックしたビートが、大人の余裕と成熟を感じさせます。