トマト栽培を成功させる最初のハードルは、「どれが脇芽で、どれが残すべき葉なのか」を正確に見極めることです。植物学的にトマトの脇芽(側枝)は、垂直に伸びる「主枝(親づる)」と、そこから横に伸びる「本葉の柄(葉柄)」の間の付け根部分(葉腋:ようえき)から斜め45度の角度で発生します。
主枝の先端にある「生長点」や、花が咲く「花房(かぼう)」と脇芽は明確に異なります。花房は茎から直接飛び出すように形成されますが、脇芽は必ず主枝と葉の分岐点の谷間から顔を出します。この位置関係さえ頭に入れておけば、誤って主枝や花房を摘み取ってしまう事故を防ぐことができます。
では、なぜこの脇芽を放置してはいけないのでしょうか。トマトは非常に旺盛な栄養生長力を持つ植物です。脇芽をそのまま伸ばし続けると、以下のような深刻な栽培障害が連鎖的に発生します。
- 養分の分散による果実の劣化:根から吸収された水分や肥料分が何本もの側枝に分散し、1玉あたりの果実サイズが小さくなり、糖度も低下します。
- 日照不足と通気性の悪化:枝葉が過密になって株の内側に日光が届かなくなり、光合成効率が落ちます。
- 病害虫の爆発的発生:風通しが悪くなることで湿度が高まり、うどんこ病や灰色かび病、葉かび病などの糸状菌(カビ)による病気が蔓延しやすくなります。
農業指導の現場データでも、適切に脇芽を管理した株と完全放置した株では、可販果(品質の良い実)の収穫率に約35〜40%以上の明確な差が出ることが実証されています。