地元住民の間で長らく愛されてきたバーミヤン沼津御幸店が閉店した理由を深掘りすると、一店舗の業績にとどまらない複数の経営課題が浮かび上がってきます。最大の要因として挙げられるのが、親会社である株式会社すかいらーくホールディングスが推進してきたグループ全社規模の店舗網ポートフォリオ見直しです。
同社が公表した決算説明会資料および中期経営方針の推移を辿ると、グループ全体で採算性の精査が行われ、築年数の経過したロードサイド型単独店舗のスクラップ&ビルドが断行されました。とりわけ地方都市のロードサイド拠点においては、以下の3つの要素が複雑に絡み合っていました。
第1に、定期借地契約・建物賃貸借契約の更新タイミングです。外食ロードサイド店舗の多くは15年から20年単位の定期契約を結んでおり、更新期には内装や給排気設備の大規模改修(CapEx投資)が不可欠となります。資材高騰や人件費上昇が続く中、投資回収リスクの厳しい店舗が冷徹に選別されました。
第2に、深夜帯の生活スタイルの劇的な変化です。かつて深夜2時まで営業していた同店ですが、夜間客足の減少やグループ全体の営業時間短縮方針に伴い、深夜売上の比率が低下。エネルギーコストの高騰が重なり、長時間の箱型店舗運営が高コスト体質化していきました。
第3に、周辺商圏の競合環境の変化です。国道沿いや大型商業施設内への外食集積が進む一方で、市役所南側の住宅・官公庁街に位置する御幸町周辺では、昼ピークの需要は高いものの、ディナータイムや平日の集客波をどう平準化するかが長年の課題となっていました。これらが複合的に重なり、契約満了の節目に撤退という経営判断が下されたと分析されます。