建物の基本設計を手掛けたのは、横河グループの創業者であり、三越日本橋本店や帝国劇場など数々の記念碑的建築を残した建築家・横河民輔です。木造2階建て、天然スレート葺きの寄棟屋根、外壁の下見板張りに白いオイルペイントを施した佇まいは、南欧やアメリカ南部のコロニアル様式(ベランダ・コロニアル様式)を色濃く反映しています。
館内に足を踏み入れると、明治の栄華を物語る上質な木造内部空間が広がります。特に注目すべき鑑賞ポイントは以下の通りです。
- 1階 応接室とサンルーム:南面に大きく張り出した円形サンルームから柔らかな自然光が差し込み、重厚な暖炉(マントルピース)と美しいステンドグラスが空間を引き締めます。
- 木製階段と手摺りの職人技:2階へと続く階段ホールには、丁寧に削り出された親柱と優美なカーブを描く手摺子が配され、当時の大工技術の粋を伝えています。
- 2階 広間と南側ベランダ:かつて武藤山治が読書や思索に耽った2階ベランダからは、松林越しに淡路島と明石海峡を行き交う船、そして視界を横切る明石海峡大橋の大パノラマを一望できます。
- 当時の調度品と生活資料:武藤家に残されていたクラシックな家具やピアノ、当時の生活様式を伝える生活道具が展示され、単なる展示施設を超えた「息遣い」を感じ取ることができます。