法的には社会復帰の道が残されている無期懲役ですが、法曹関係者やメディアの間では「実質的な終身刑と化している」と指摘されるケースが増加しています。その背景には、仮釈放者数を刑務所内での死亡者数(獄死)が大幅に上回っているという冷厳な統計的事実があります。
現在、全国の刑務所に収容されている無期懲役囚の総数は約1,600人から1,700人規模で推移しています。これに対し、年間に仮釈放される人数が数名程度である一方、刑務所内で病気や老衰により死亡する受刑者は毎年数十名規模に上ります。
服役期間の長期化に伴い、受刑者の高齢化が急速に進行しています。60代・70代はもちろん、80代を超える高齢受刑者が増大した結果、仮釈放の要件を満たす前に心身機能が衰え、所内の病棟で生涯の幕を閉じる事例が日常化しています。一度刑務所に入れば二度と外の空気を吸うことなく一生を終える確率の方が圧倒的に高いという点が、「実質終身刑」と呼ばれる所以です。