結論から言えば、現代の日常会話や報道において「蹴球」と「サッカー」が指すスポーツの実態に違いはありません。どちらも11人対11人で球を奪い合い、相手ゴールへボールを入れる同一の競技(アソシエーション・フットボール)を指しています。
ただし、歴史的な文脈を辿ると、かつて蹴球は単にサッカーだけを指す言葉ではありませんでした。イギリスで生まれたフットボールが世界へ普及する過程で、「手を使わずに足でボールを蹴るアソシエーション式」と「ボールを持って走るラグビー式」に分かれたため、日本でも当初はその双方を包括して蹴球と呼んでいた背景があります。
一般社会で「蹴球」から「サッカー」へと呼び方が完全にシフトしたのは、1960年代から1970年代にかけてです。1964年の東京五輪や1968年のメキシコ五輪で日本代表が銅メダルを獲得した時期を境に、アメリカ英語由来の「サッカー(Soccer)」という呼称がメディアを通じて一気に国民へ定着しました。