多くの人が「恋人とのつらい別れ」を重ね合わせる『さよなら 大好きな人』ですが、歌詞の中で描かれている「大好きな人」のモデルは恋人ではありません。この曲は、こじまいづみの実の祖父への想いを綴った作品です。
歌詞を改めて精読すると、一般的な失恋ソングとは一線を画す表現が散見されます。特に印象的なのが「くやしいよ とても 悲しいよ とても」という一節です。恋人同士の別れであれば「引き止めたい」「やり直したい」といった未練や感情のすれ違いが描写されることが多いのに対し、ここでは取り返しのつかない現実に対する無力感と「くやしさ」がストレートに吐露されています。
病気や寿命という抗えない力によって、大好きな肉親が目の前で旅立ってしまう。当時まだ若かった彼女が抱いた「何もできなかった」というやるせなさと悲嘆が、この言葉に凝縮されているのです。特定の固有名詞や性別を限定する言葉をあえて使わなかったからこそ、家族との別離、恋人との破局、大切な友人やペットの死など、あらゆる「愛する存在との永遠の別れ」に寄り添う普遍的な歌詞の意味を獲得しました。