トゥードルスの存在を語る上で欠かせないのが、近所の野良猫集団のボスである黒猫「ブッチ」の介入です。ここに成立するトムとジェリーブッチ三角関係は、子ども向けアニメの枠を完全に踏み越えた「資本主義と格差社会の縮図」そのものでした。
普段のトムとブッチは、ゴミ箱を巡って争ったり、ジェリーを捕まえようと結託しては仲間割れするストリートのライバル関係です。ところが、トゥードルスの前に出た瞬間、二人の争いは「オスとしての経済力と見栄の張り合い」へと変貌します。特にブッチは、路地裏の野良猫という設定でありながら、なぜか大富豪の資産家として登場することが多く、トムに対して無慈悲なまでの財力の差を見せつけます。
トムがなけなしの貯金を叩いてプレゼントを用意しても、ブッチはそれを数倍、数十倍のスケールで軽々と上書きしていきます。トムの不器用な誠意や熱情は、トゥードルスの現実的な審美眼の前では一瞬の価値も持ちません。この無情なリアリズムこそが、幾多のトム失恋エピソードの中でも観客の胸を抉る最大の要因となっています。