Web上の修理ノウハウを検索すると、定番のように紹介されているのが「マイナスドライバーでスライダーの隙間をこじ開けて入れ直す」という手法だ。しかし、プラスチック製ファスナーを扱う現場の技術者や実際に試したユーザーからは強い警鐘が鳴らされている。
実際にWebメディア「Umi-log」の体験検証でも、金属製ファスナー向けのつもりでファスナー外れたマイナスドライバーによるこじ開けをプラスチック製スライダーに試した結果、無理な力がかかった瞬間に「パキッ」とスライダー本体が割れて再起不能に陥った生々しい失敗事例が報告されている。金属スライダーであれば多少の展延性(金属が伸びる性質)があるため隙間を広げて戻す芸当が可能だが、プラスチックや亜鉛ダイカスト製のスライダーは脆性破壊を起こしやすく、わずかな外力で亀裂が入る。
同様に、緩んだスライダーを締め直そうとして「ペンチで力任せに挟み込む」行為も極めて危険だ。プラスチック製ファスナーの変形を直す際は、工具による物理的な拡張を避け、エレメントの末端(下止め部分)から正規のルートで滑り込ませるアプローチを徹底しなければならない。