日本の歴史において最大の転換点となった戦国時代、とりわけ革命児・織田信長を巡る考察は圧巻だ。井沢氏は、信長が目指したものが単なる天下統一にとどまらず、自らを「現人神」へと昇華させる既存の宗教秩序に対する挑戦だったと分析する。
明智光秀がなぜ謀反を起こしたのかという謎についても、古典的な「怨恨説」や「野望説」を排し、旧来の神仏や天皇を絶対視する「和の秩序」を護るための防衛反応だったという緻密なロジックを展開する。この分析は、優れた歴史ドキュメンタリーが持つスリリングなサスペンスそのものであり、読者を飽きさせない。