本作の凄みは、キャスト陣が魅せる圧倒的な演技のリアリティに他ならない。主人公の鈴木英雄を演じた大泉洋は、冴えない男の情けなさと、極限状態で見せる執念を見事に体現。観客に「自分もこうなるかもしれない」と思わせる等身大の恐怖と情熱をスクリーンに焼き付けた。
半感染状態の女子高生・比呂美を演じた有村架純の存在感も際立つ。言葉を失いながらも英雄に寄り添う切なくも可憐な姿は、作品のダークな世界観に一筋の救いをもたらす。そして、元看護師の藪(小田つぐみ)を演じた長澤まさみの一転したタフなアクションと覚悟の表情は、サバイバルホラーとしての緊張感を最高潮へと押し上げた。実力派キャストがぶつかり合うドラマ性が、恐怖の裏にある人間臭さを鮮明に炙り出している。