サイレンが鳴り響いた際、X(旧Twitter)上で「博多駅前で消防車が5台以上集結!大火事か?」「〇〇町が煙で真っ白」といった福岡消防車目撃ツイートが爆発的に拡散される現象が日常的に見られます。しかし、現場取材と消防統計のデータを照らし合わせると、SNS上の初期投稿と実際の事態には大きな乖離が存在することが多々あります。
消防組織では、119番通報で「煙の臭いがする」「警報器が鳴っている」という通報が入った段階で、たとえ煙が見えなくても規定台数(ポンプ車、はしご車、救助車、指揮車など5〜7台編成)を一斉出動させます。現場に到着し、調理中の焦げ付きや誤作動であることが確認されれば、放水することなく数分で引き揚げます。しかしSNS上では「消防車の大船団=大惨事」という短絡的な憶測が独り歩きし、閲覧者の不安を煽る結果となります。
災害心理学の観点において、突発的なサイレンや煙を目にした人間は「情報飢餓状態」に陥り、手近にある不確かな噂話を信じ込みやすくなる確証バイアスが働きます。さらに、自らの不安を解消するために「〇〇で火事らしい」とSNS上で拡散に加担してしまう心理メカニズムが存在します。
ここで強く留意すべきは、「サイレンの場所を知りたいから」と119番へ電話をかける行為は絶対に避けるべきという点です。119番は今まさに命の危機にある人が助けを求める緊急回線です。問い合わせ電話で回線が塞がれば、一分一秒を争う心肺停止事案や本当の延焼火災の通報が繋がらなくなるという致命的なリスクを生み出します。