検索エンジンで「猫の細道 猫いない」というキーワードが頻出するように、現地を訪れた観光客から「期待していたほど生きた猫に会えなかった」という感想が寄せられるケースがあります。しかし、これは生息数の激減だけが理由ではありません。現場の環境と猫の行動生態学を照らし合わせると、明確な理由が存在します。
猫は本来、明け方や日没前後に活発に動く「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」の動物です。特に観光客で賑わう11時から15時の時間帯は、人の気配や物音、日差しの強さを避けて建物の床下や屋根裏、立ち入り禁止の奥まった茂みで睡眠を取っています。また、尾道市内のボランティア団体や地域住民による適切な保護活動・TNR(避妊去勢手術)が進んだことで、野放図な野良猫の繁殖が抑制され、衛生的かつ穏やかな地域猫環境が保たれていることも背景にあります。
生きた猫との自然な出会いを求めるのであれば、散策するタイミングの選定が決定打となります。観光客がまばらな朝7時から9時台、あるいは夕暮れ時の斜光が差し込む時間帯であれば、石段の上でのんびりと毛づくろいをする猫に出会える確率は大幅に高まります。