荒木飛呂彦氏が生み出した「ジョジョ立ち」の真髄は、少年漫画の王道アクションと西洋美術・ハイファッションの融合にあります。著書や歴代インタビューの証言によると、荒木氏は執筆当時、パリやミラノのコレクションを特集した『Vogue』や『Harper's BAZAAR』といった海外ファッション誌、さらにはヴェルサーチェやジャン=ポール・ゴルチエなどのアヴァンギャルドな広告ビジュアルを徹底的にスクラップして研究を重ねていました。
特に空条承太郎 ジョジョ立ちの骨格には、ミケランジェロのダビデ像に代表されるルネサンス美術の基本技法「コントラポスト(左右非対称の重心配置)」が色濃く反映されています。片足に全体重を乗せ、骨盤を傾けながら上半身を逆方向にひねることで、静止画でありながら強烈な躍動感と優美な「S字ライン」を生み出している点が、従来の少年漫画における直線的な立ち姿と決定的に異なるところです。
さらに、映画俳優クリント・イーストウッドが演じる孤高のガンマンのようなニヒルさと、モード系モデルの退廃的な気品が掛け合わされた結果、唯一無二の承太郎ポーズ 元ネタとして結実しました。漫画という二次元空間において、ファッション性と肉体美の緊張感を同時に成立させた歴史的瞬間といえます。