東大寺の大仏殿に一歩足を踏み入れると、その圧倒的なスケールと漂う荘厳さに息をのむ。8世紀、度重なる天災や疫病に苦しむ人々を救うため、聖武天皇は仏教の力による国の安定を願い大仏建立という一大事業を断行した。その揺るぎない祈りの精神は、今もこの街の空気の中に脈々と生き続けている。
1998年にユネスコ(UNESCO)の世界遺産に登録された「古都奈良の文化財」は、東大寺や興福寺、春日大社、薬師寺、唐招提寺、平城宮跡など8つの貴重な資産で構成されている。世界的な建築遺産である木造建造物群と、それらを包み込む春日山原始林の豊かな生態系は、人と自然と信仰が一体となって歩んできた奇跡の証と言えるだろう。