「スギ花粉の時期はとっくに過ぎたはずなのに、喉が焼けるように痛い」「夜になると咳き込んで眠れない」という悩みを抱える人は少なくありません。この現象が起きる最大の原因は、カモガヤ花粉が持つ微小性と抗原としての物理的特性にあります。
スギやヒノキの花粉は粒子径が約30〜40マイクロメートルと比較的大きく、多くは鼻粘膜や眼球の表面にトラップされます。そのため、主な症状はくしゃみや多量の鼻水にとどまる傾向があります。一方、イネ科のカモガヤ花粉は乾燥や風化によって破砕されやすく、さらに微細なアレルゲン粒子となって気道深部へ侵入します。その結果、鼻を通り抜けて咽頭から気管支粘膜を直接刺激し、喉の強い痛みや気管支喘息に酷似した激しい咳を誘発するのです。
医療現場の診察記録でも、5月中旬から「風邪の初期症状だと思って内科を受診したが、抗生剤も風邪薬も効かない」と駆け込む患者が急増します。熱が出ないにもかかわらず、喉の違和感や咳だけが2週間以上続く場合は、風邪ではなくイネ科花粉症を疑うのが医学的な常識です。