諸行無常とは?平家物語が伝えたかった本当の意味と心を救う3つの教え

諸行無常とは?平家物語が伝えたかった本当の意味と心を救う3つの教え

諸行無常とは?平家物語が伝えたかった本当の意味と心を救う3つの教えについて押さえておきたい 理由を分かりやすい構成で解説いたします。

日本人の心に「無常観」を決定的に刻み込んだのは、鎌倉時代に成立した軍記物語の最高傑作『平家物語』です。そのあまりにも有名な巻頭の句を、まずは原文と現代語訳で確認してみましょう。

【平家物語 冒頭原文】
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵におなじ。」

【平家物語 冒頭 現代語訳】
「祇園精舎の無常堂にある鐘の音には、『あらゆるものは移り変わる』という響きがある。釈迦が入滅したときに白く枯れたという娑羅双樹の花の色は、『勢い盛んな者も必ず衰退する』という道理を示している。権力を誇り驕り高ぶっている者もその栄華は長く続かず、まるで春の夜に見る儚い夢のようだ。武勇に優れ勢い盛んな者も最後には滅びてしまい、まったく風の前に吹き飛ばされる塵と同じである。」

ここで多くの人が疑問を抱くのが、「祇園精舎の鐘の声」の意味とその舞台です。祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)とは、古代インドの舎衛城(シュラーヴァスティー)に実在した寺院「ジェータヴァナ(給孤独園)」のことです。仏教の伝承によると、祇園精舎の西北角には重病の僧侶を収容する「無常堂」があり、僧が亡くなる際には堂の四隅にあるガラスの鐘が無常の調べを奏でて「諸行無常」の理を伝えたとされています。

つまり「諸行無常の響きあり」の意味とは、単に鐘の音が物悲しく聞こえるという情緒的な描写にとどまらず、「いかなる命も永遠ではなく、必ず終わりを迎える」という宇宙の絶対律を、インド仏教の故事を引いて読者に突きつける演出なのです。作者は平清盛を中心とする平家一門の劇的な栄枯盛衰を語る前に、壮大な宗教的スケールを用いて「人間の営みの儚さと宿命」を提示しています。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。