絶大な健康メリットを誇る松の実ですが、摂取にあたっては見過ごしてはならないリスクや誤解が存在します。ネット掲示板やSNS上で「松の実を食べたら体調を崩した」「味が変になった」と騒がれるトラブルの正体を検証します。
第1の盲点は、脂質の過剰摂取に伴う消化不良とカロリーオーバーです。「美容に良いから」とナッツ感覚でボウル一杯(50〜100g以上)を一度に食べてしまうと、胃腸が脂質を分解しきれず、激しい下痢や胃もたれ、軟便を引き起こします。また、どれほど良質な脂質であっても1gあたり9kcalの熱量を持つ事実に変わりはないため、過剰摂取は当然ながら体脂肪の増加に直結します。
第2の盲点、かつ消費者を最も混乱させる現象が、数日間にわたって飲食時に強烈な金属臭・苦味を感じる「パインマウス症候群(Pine Mouth Syndrome / 松の実口症)」です。
この現象は、摂取後1〜3日ほど経過してから発症し、何を口にしても後味に強い苦味が残る一過性の味覚障害です。世界各国の食品安全当局(フランス食品衛生安全庁や米国FDA)による調査報告によると、食用として適格なチョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis)以外の安価な非食用・低品質松の種子(Pinus armandiiなど)が混入した製品を喫食した場合に発生頻度が高いとされています。幸いにも永続的な毒性や後遺症はなく、通常は数日から2週間程度で自然寛解しますが、発生中は著しい生活の質の低下を招くため注意が必要です。