脳の血流障害を防ぐ担保システム、それこそが動脈輪の最大の役割だ。どこか一箇所の幹幹血管に狭窄や閉塞が生じても、迂回路(側副血行路)から血流が流れ込むことで、脳全体の致命的な虚血を未然に回避する。しかし、その分岐部には日常的に激しい流体力学的ストレスが加わり続けている。
分岐部に血流の負荷が集中すると、血管壁の薄い部分が局所的に膨らみ、脳動脈瘤が形成されるリスクが高まる。これが破裂すると、命に関わるくも膜下出血を引き起こすのだ。一方で、動脈硬化などで環の一部が塞がり、側副血行が機能しない場合には脳梗塞の発症に直結する。日本脳神経外科学会の最新知見においても、動脈輪の個体差や異変を把握することが、脳血管障害の重症度を予測する上で極めて重要であると指摘されている。