茶の歴史を遡ると、鎌倉時代初期に臨済宗の開祖である栄西が宋から茶種を持ち帰り、著書『喫茶養生記』で「茶は養生の仙薬なり」と説いた時代に行き着く。当時は修行僧の眠気を覚まし、心身を整えるための貴重な薬として扱われていた。やがて安土桃山時代に千利休が大成させた茶の湯によって、茶は単なる飲料を超え、人と人とが一期一会の心で向き合う精神文化へと昇華した。
茶室で交わされる静謐な所作や、季節の移ろいに五感を澄ませる姿勢は、現代の映画『日日是好日』でも瑞々しく描かれている。忙しない日々に疲れた現代人が、NHKオンデマンドなどの配信プラットフォームを通じてこうした茶道の世界観を再発見し、デジタルデトックスの手段として茶を取り入れる動きが目立つ。千変万化する社会の中で、一杯の茶に心を委ねる贅沢は、何百年もの時を超えて今なお色褪せていない。