事務所との間で生じた将来像のズレは、やがて大きな決断へと至る。大手事務所を離籍する際、ひとつの重い条件が課されたという。それは「数年間、民放テレビドラマには出演しない」という暗黙の誓約だった。
華やかな表舞台からの突然の消失。人気絶頂期での民放降板は、世間から見れば「消えた俳優」と映ったかもしれない。しかし、この潜伏期間こそが彼の役者魂を深くまで鍛え上げた。単館系映画やミニシアターの現場へ足繁く通い、インディペンデント作品の過酷な撮影現場で徹底的に芝居を磨き直す。地上波のスポットライトを失っても、映画スクリーンの光だけは決して見失わなかった。