ファーストピアスに触れた多くの人が「まるで接着剤で固定されているかのようだ」と驚愕します。しかし、これは製品の欠陥ではなく、意図された設計思想によるものです。市販されている一般的なファッションピアスと比べ、ピアッサー付属キャッチの仕組みと構造には根本的な違いが存在します。
最大の要因は、軸(ポスト)の先端付近に刻まれた円周状の溝(ノッチ)と、キャッチ内部に組み込まれた高張力の板バネ構造にあります。ファーストピアスは、皮膚が治癒していないデリケートな期間中に「就寝時の寝返りや衣服の着脱で誤って脱落すること」を絶対に防がなければなりません。そのため、バネがノッチへ深々と食い込み、通常の数倍の引き抜き抵抗(テンション)がかかるよう設計されているのです。
さらに見落とせないのが生理学的な要因です。ピアスホールが完成に向かう過程で分泌される組織液(リンパ液や浸出液)や皮脂が、ポストとキャッチの微細な隙間に浸透します。これが空気に触れて乾燥すると、タンパク質性の強固な「糊(のり)」の役割を果たしてしまいます。つまり、ファーストピアスが固くて外れない理由は、器具本来の強力な物理的ロック機構に、生体反応による癒着が上乗せされている複合現象なのです。