ドラマ放送当時、小栗旬の年齢は29歳。数々の青春ドラマや大河ドラマを経て、俳優としてひとつの大きな円熟期を迎えようとしていた時期でした。スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグといった実在のITカリスマを連想させる革新的な起業家像に、小栗旬ならではのシャープな色気と少年のような脆さが絶妙にブレンドされ、日向徹という伝説のキャラクターが誕生しました。
日向徹が率いる「NEXT INNOVATION」の開放的なオフィス空間、壁一面の落書きスペース、パーソナルモビリティで社内を移動するスタイルは、当時の視聴者に強烈な近未来感と憧れを与えました。しかし、彼が単なる“成功者”にとどまらなかったのは、心因性の「相貌失認(人の顔と名前を覚えられない病気)」を抱え、他者への不信感と孤独を抱えていたからです。
完璧に見える天才が、欠落した心を抱えながら泥臭く前へ進む姿こそ、小栗旬がかっこいいと評される本質的な理由でした。冷徹な毒舌を放ちながらも、ふとした瞬間に見せる無邪気な笑顔や、仲間を信じたいと願う葛藤を、小栗旬は繊細な目の動きと佇まいで見事に表現し切りました。