災害心理学や行動経済学において広く知られる概念に「正常性バイアス」がある。人間は予期せぬリスクに直面した際、「自分だけは大丈夫」「これまで事故が起きなかったから明日も起きない」と都合よく解釈し、危険シグナルを過小評価してしまう心理的傾向を指す。
電子レンジのアース線未接続問題は、まさにこの正常性バイアスが最も典型的に現れる家庭内リスクの一つだ。製品が正常に動いている日常の中では、漏電という非日常の危機を想像することは難しい。しかし、家電製品は1年365日、湿気や油分、振動に晒されながら静かに劣化を続けている。
安全な住まいと家族の命を守るための判断基準は明快だ。
- 今すぐアース線を接続・延長すべき人:電子レンジをシンク脇や湿気の多い場所に置いている世帯、アース端子が届く範囲(延長含む)にある物件、築年数が経過した中古レンジを使用している人。
- プラグ型漏電遮断器(ビリビリガード)を即時導入すべき人:賃貸住宅でキッチン周辺にアース端子が一切存在しない部屋に住んでいる人、配線を部屋中に這わせることが間取り上不可能な人。
- 専門の電気工事を検討すべき人:持ち家・分譲マンションで今後も長くそのキッチンを使用する計画があり、キッチンのコンセントにアース端子が備わっていない家庭。
アース線を繋ぐ、あるいは漏電遮断器を1個設置するというわずか数千円・数分の手間で、将来発生し得る数百万円規模の火災被害や取り返しのつかない人身事故を確実に防ぐことができる。