個人の富を数世代にわたって維持・継承するための仕組みとして、今や世界標準となった「ファミリーオフィス」。その拠点は急速にシンガポールへと集中している。プライベート・バンキングの激戦区でもあるこの国には、スイスや欧米の主要金融機関がこぞってトップクラスのバンカーを配置。暗号資産、プライベート・エクイティ、アートファンドに至るまで、あらゆる資産クラスを包括的に管理する体制が整っている。
ここで注目すべきは、政府系投資会社テマセク・ホールディングスに代表される、シンガポール国家の強靭な運用ノウハウだ。国家自らが世界的投資家として卓越したポートフォリオを運用しており、そのエコシステムと波及効果が民間ファミリーオフィスにも強い安心感を与えている。単に資産を守るだけでなく、アジア全体の成長の波に乗せて資産を拡大させる——これこそが、秘密のベールに包まれた近代的な資産防衛術の実態だ。