「審神者」の一般的な読み方は「さにわ」です。初見では難読漢字のひとつに挙げられますが、神道や民俗学の世界では古くから神聖な職掌として知られてきました。
語源の有力な説とされているのが、神を招いて降臨させる清められた神聖な場所を指す「清庭(さには)」や「沙庭」です。古代の祭祀において、神をお迎えする庭(祭場)を司り、神の声を聴く儀式を執行したことから、その役割を担う人物そのものを「さにわ」と呼ぶようになりました。後に「神を審(つまび)らかにする者」という役割を的確に表す漢字として「審神者」の文字が当てられたとされています。
古代の神祭りでは、神が直接人々の前に姿を現すことはなく、トランス状態(神懸かり)になった媒介者を通じて意思を伝えると信じられていました。しかし、降りてきた存在が必ずしも慈悲深い正神とは限りません。時には人々を惑わす悪霊や物の怪(低級霊)、あるいは媒介者自身の潜在意識や私利私欲が混ざり込む危険性がありました。
そこで不可欠となったのが、神懸かりした者の言動を冷静に観察し、「本当に正しい神の神託なのか」「邪霊の狂言ではないか」を冷徹に審理・識別する役職です。つまり、審神者とは神の世界と人間の世界の間で客観的な監査を行う「神託の鑑定士・最高裁判官」でした。