銀巴里での出会い以降、二人の関係は急速に深まり、芸術的な共闘へと発展します。三島は美輪の持つ中性的な美と凄まじい表現力に触発され、自作のヒロインを美輪に託すようになりました。
その先駆けとなったのが、戯曲『近代能楽集 卒塔婆小町』です。美輪が演じる老婆と絶世の美女の二面性は、三島が追い求めた「美と時間のパラドックス」を完璧に具現化しました。
そして二人のコラボレーションの頂点となったのが、1968年に上演された舞台『黒蜥蜴』(原作:江戸川乱歩、戯曲:三島由紀夫)です。三島は美輪のために戯曲をブラッシュアップし、美輪は緑色の髪に絢爛豪華なドレスを纏った女盗賊・黒蜥蜴を見事に演じ切りました。
劇中、三島自らが演じた「生きた剥製(人形)」の役で美輪と舞台上で交わした情熱的なキスシーンは、今なお演劇界の伝説として語り継がれています。三島は「美輪の黒蜥蜴を見てしまうと、他の誰にもこの役を演じることはできない」と手放しで絶賛しました。