靴紐に関してインターネット上で広まる情報の中には、現場のプロから見ると重大な落とし穴が存在します。その代表例が「とにかく紐をギューギューに強く引っ張って結べばほどけない」という誤解です。
紐を限界まで締め上げると、甲を通る血管や神経を圧迫して足の痺れや血行不良を招くだけでなく、足の甲の屈曲運動によって結び目にかかる反発力が増大し、かえって結び目が弾け飛ぶように緩む原因となります。結びの安定性を決めるのは力任せの締め付けではなく、「結び目の摩擦面積」と「紐同士の噛み合わせ」です。
また、自分で靴紐を結び直すことが難しい幼児や小学生向けの子供靴紐ほどけない結び方としては、イアンノットの発展形である「イアンセキュアノット」が推奨されます。輪を作って引き抜く際に両方のループを交差させて二重に潜らせる手法で、公園での全力疾走や激しい遊具遊びでも解けず、それでいて保護者が紐の先端を引っ張れば瞬時に外せるという優れた安全性を備えています。