カトリーヌ・ドヌーヴの若い頃の美しさは、単なる容姿の端麗さを超え、ひとつの「映画的事件」でした。彼女の名を世界に轟かせた決定打が、ジャック・ドゥミ監督による1964年のミュージカル映画の傑作『シェルブールの雨傘』です。
パステルカラーの街並みの中、悲恋に揺れる少女ジュヌヴィエーヴを演じた彼女の可憐さは、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞とともに世界中を魅了しました。全編が歌で紡がれる革新的なスタイルの中で、ドヌーヴの完璧な横顔と憂いを帯びた瞳は観客の胸に深く刻み込まれました。
その後、清純派のイメージを自ら打ち破ったのが、ルイス・ブニュエル監督の『昼顔』(1967年)です。パリのブルジョワ主婦でありながら、昼間だけ高級娼婦として働くセヴリーヌ役を冷徹かつ蠱惑的に熱演。陶器のような白い肌と無表情の奥に潜む背徳美は、彼女を唯一無二の「氷の美女」として決定づけました。