1990年代、家賃の手頃さと独特の路地裏の雰囲気に惹かれ、先駆的なクリエイターたちがこの地にアトリエや小さなショップを構え始めた。音楽プロデューサー/ファッションデザイナーの藤原ヒロシをはじめとするフロントランナーたちが仕掛けたムーブメントは「裏原宿」と呼ばれ、世界のストリートファッション・アパレル産業の地図を塗り替えるまでに拡大した。
あれから年月が経ち、街の景色は劇的な変貌を遂げている。かつてのインディペンデントなショップの跡地には、グローバルブランドの実験的コンセプトストアや、サステナビリティを掲げる新世代のブティックが並ぶ。だが、単なる商業化への埋没ではない。デジタルネイティブな若手デザイナーたちが再びこの暗渠の路地に拠点を構え、伝統的なクラフトマンシップとデジタル表現を融合させた新たなアパレルの地殻変動を起こしている。表層のデザインだけでなく、背景にある思想やストーリーを売るカルチャーの遺伝子は、今なお色褪せることなく受け継がれている。