14年。言葉で言うのは容易いが、途方をも失う年月だ。焦燥感と絶望に苛まれながらも、彼は歌うことを決して諦めなかった。発声器官のメカニズムを独学で研究し、体幹トレーニングや独自の呼吸法を取り入れ、ミリメートル単位の感覚を探り寄せる毎日。声を出すための新しい回路を、ゼロから脳と体に刻み込んでいった。
彼を支えたのは、自分自身の執念だけではない。復帰を信じて待ち続けたファンからの温かい手紙や、再び共にステージに立つことを願うメンバーの友情だった。2010年代に入り、ついにT-BOLANとしての再始動を果たした瞬間、会場を包んだ涙と歓声は日本の音楽史に残る感動的なページとなった。