宇宙船のベッドで覚醒した主人公ライランド・グレース。彼を襲ったのは深刻な記憶喪失だった。周囲に転がる同僚たちの冷たい遺体。そして、徐々に紐解かれる恐るべき使命。地球の太陽エネルギーを喰らい尽くす未知の微生物「アストロファージ」によって、人類は滅亡のカウントダウンを迎えていた。グレースはその惨劇を食い止めるため、片道切符の極秘ミッション「プロジェクト・ヘイル・メアリー」に送り込まれた唯一の生存者だったのだ。
頼れるのは、己の科学知識と観察力、そして諦めない執念だけ。過酷極まりない宇宙空間で、彼は孤独な試行錯誤を繰り返す。ネタバレを避けて言えるのはここまでだ。だが、この絶望的な旅路で彼が遭遇する「あり得ない奇跡」と予想を裏切る友情のドラマこそが、ページをめくる手を止めさせない最大の熱源となっている。