その過剰な装いに決定的な転換点をもたらしたのが北野武監督である。彼の代表作である映画『アウトレイジ』シリーズでは、従来の「コテコテなヤクザ」のイメージが一変した。画面に並ぶのは、余計な装飾を削ぎ落とした静謐でミニマルな高級スーツを纏った男たちだ。
漆黒のファブリックに、鋭利なカッティング。ビジネスパーソンと見紛うようなクリーンな装いでありながら、ひとたび暴力を振るう瞬間に立ち現れる狂気。計算し尽くされたシルエットと無駄のないスタイリングが、現代的なアウトローの不気味さと冷酷さを際立たせることに成功した。