芝山氏の功績はドラえもんだけに留まらない。1978年に小林治氏らと共に設立した株式会社亜細亜堂は、職人気質のクリエイターが集う伝説的なスタジオとして、数々の名作を世に送り出すことになる。そこで培われた「キャラクターの生命感を何よりも尊ぶ」という精神は、日本のテレビアニメの風景を大きく塗り替えた。
その代表例が、国民的長寿番組となった『忍たま乱太郎』であり、初期シリーズに関わった『ちびまる子ちゃん』である。忍術学園の落ちこぼれたちが見せるコミカルで温かい日常や、昭和の家庭に流れる独特のユーモアと空気感。ファミリー・キッズアニメというジャンルにおいて、これほどまでに人間臭く、愛おしいキャラクター描写を成立させた背景には、亜細亜堂を率いた芝山氏の徹底した演出哲学が息づいている。