デビュー当時の『戯言シリーズ』では、青臭いペダンチシズムと冷徹なロジックが前面に出ていた。それが『物語シリーズ』に至ると、怪異という不可解な現象を解釈・解体するためのツールとして言葉遊びが昇華された。「猫」や「蛇」といった怪異は、キャラクターの心の言い訳であり、言葉の誤解や掛け詞によって現実を侵食する。
さらに『美少年シリーズ』や近年の本格ミステリー的アプローチを強めた作品群では、言葉のレトリックがより洗練され、軽快なポップさを纏うようになった。時代やジャンルごとに装飾を変えつつも、「言葉で世界を構築し、言葉で世界を解体する」という芯は揺らいでいない。