患者や家族の間で根強く存在する誤解が、「国立精神・神経医療研究センターの名医に担当してもらえば、どんな難病もすぐに完治する」という過度な期待です。
精神科や神経内科の領域における疾患は、脳の器質的変化や慢性的な生体リズムの障害、自己免疫の異常など、長期的なコントロールを必要とするものが大半を占めます。NCNPの医師陣が優れている本質は、「魔法のような治療を一撃で行うこと」ではなく、「徹底的に科学的根拠に基づいた精密な鑑別診断を下し、現時点で最も妥当な標準治療または先進的治療のロードマップを描くこと」にあります。
また、同センターは教育機関・研究機関でもあるため、若手医師の育成やチーム医療が基本となっています。「特定の著名な医師個人だけがすべての診察を担当してくれる」わけではなく、複数の専門医や多職種(公認心理師、精神保健福祉士、理学療法士など)によるカンファレンスを経て治療方針が決定されます。主治医単体への過度な依存を期待して受診すると、ギャップを感じる原因になりかねません。
【受診判断】国立精神・神経医療研究センターが向いている人・おすすめできない人
膨大なリソースと時間を費やしてNCNPを受診すべきか否かは、現在の病状と目的によって明確に分かれます。
【NCNPの受診を強く推奨するケース】
- 近隣の複数の病院で診察を受けたが、明確な診断がつかず原因不明のまま悪化している場合
- てんかんの外科手術の適応判断や、難治性筋疾患・神経免疫疾患の確定診断を希望する場合
- 発達障害や認知症の鑑別にあたり、最新の画像検査や詳細な神経心理学的アセスメントを必要とする場合
- 既存の標準治療で効果が得られず、最新の治験や臨床研究の選択肢を視野に入れたい場合
【近隣のクリニックを優先すべきケース】
- 日常的な精神的ストレスや不眠、軽度の抑うつ状態で、今すぐ投薬や休職の診断書が欲しい場合
- 通院の負担を抑え、毎週〜隔週ペースで定期的なカウンセリングや経過観察を希望する場合
- 紹介状の用意がなく、予約なしで当日に診察を受けたい場合