湖西線が他の路線と比較して天候の影響を受けやすい背景には、琵琶湖西岸特有の地形と構造上の特徴が深く関わっています。最大の要因は、比良山地から琵琶湖に向かって吹き降ろす局地的な強風「比良おろし」です。標高1,000メートル級の山々を越えて吹き抜ける冷たい突風は、線路に対して垂直に近い角度で吹き付けるため、車両の横転リスクを高める危険性を孕んでいます。
湖西線は踏切を全廃した高規格路線として設計されており、全線の約3割が高架橋や盛土の上に敷設されています。この高架構造は高速運転を可能にする一方で、地上よりも風速が強まりやすいという弱点を併せ持っています。
JR西日本では安全基準に基づき、風速計の計測値に応じた厳格な運転規制を敷いています。瞬間風速が秒速20メートルを超えると時速25km以下への徐行運転、秒速25メートルを超えると全面的な運転見合わせが発令されます。乗客の命を守るための厳格な安全基準こそが、運行見合わせが頻発する根本的な理由です。