なぜ圧倒的な資本力と全国1万5,000カ所以上の拠点を持つパーク24グループであっても、ワンウェイを恒常サービス化できないのか。その核心には、カーシェアというビジネスモデル特有のコスト構造が存在します。タイムズカーシェア乗り捨てできない理由は、主に以下の3点に集約されます。
第1の壁は「車両偏在の解消コスト(リロケーション費用)」です。乗り捨てを自由化すると、クルマは需要の多い駅前や繁華街に溜まり続けます。これを解消するには、深夜帯や早朝にスタッフが手作業でクルマを元の位置へ戻す「回送作業」が不可欠です。しかし、人手不足と人件費高騰が進む昨今、回送スタッフの確保と人件費は莫大な額に膨らみ、安価なカーシェア料金体系を根底から破壊してしまいます。
第2の壁は「返却ステーションの駐車枠ブッキング問題」です。タイムズの強みは都市部のコインパーキングを活用した高密度な展開ですが、1ステーションあたりの駐車可能台数は平均2〜4台程度と小規模です。乗り捨てを許可した場合、「目的地に着いたが返却枠がすべて埋まっていて駐車できない」という致命的なトラブルを回避するため、到着枠を長時間キープしなければならず、稼働効率が著しく低下します。
第3の壁は「高回転率を維持するラウンドトリップの完成度の高さ」です。タイムズカーは会員数が300万人規模に達しており、元の場所に戻す利用形態だけで車両1台あたり1日複数回の高稼働を実現しています。リスクとコストを冒してまでワンウェイを導入する経営的動機が極めて薄いのが現状です。