テレビ朝日と東映が総力を挙げて立ち上げた『吉宗評判記 暴れん坊将軍』は、勝新太郎の付き人を経て頭角を現しつつあった若手俳優・松平健を主役に抜擢する一大勝負から始まりました。当初は無名の若手が大作の看板を背負うことに懸念の声もありましたが、プロデューサー陣は彼の端正な顔立ちと日本人離れした抜群の体躯、そして殺陣の素質に将来性を確信していたといいます。
吉宗が「徳田新之助(愛称:新さん)」と名乗り、一介の浪人として江戸の町を闊歩する設定は、古典落語や講談の講釈をベースにしつつも、極めて現代的なヒーロー像として再構築されました。トレードマークとなる白馬に乗って砂浜を疾走する鮮烈なオープニング映像は、静岡県の一ツ松海岸などでロケが敢行され、当時のテレビ時代劇のスケール感を大きく凌駕する映像美として視聴者の度肝を抜きました。